嘘つき

 

 Kの自室の換気口のフィルターを交換するように渡した。

私はKの部屋には入らない。プライバシーというのもあるが、魔窟状態で

良い気分にならないことが分かっているからだ。

 

それに対してKは、

「換気口は箪笥の裏だから閉めてある。開けてないから必要ない」

「箪笥の裏だからこそ、開けて空気の流れを良くしないといけないでしょう」

「でも、元々フィルターを付けてない」

「じゃあ、開けてフィルターを付ければ良いでしょう」

と、フィルターを渡した。

 

Kが部屋に入り出て来た。

「やった」

ん? この時間で箪笥動かして、フィルター貼れるのか?

 

「本当にやったの?」

「やった」

「どうやって? この時間で出来ないでしょう?」

「元々付いていたフィルターがはがれなかった」

「フィルター付けてないって言ったけれど、付いていたのね。

それでどうしたの?」

「だからやめた」

「じゃあ、やってないじゃない」

「いや、やった」

「どういうこと?」

「箪笥の裏を見た」

ああ、またいつものアレだ。

自分がやりたくないことはこうして嘘をつく。

しかし、本人はあくまで嘘じゃないと言い張る。

だからこれ以上は言わない。

けれど、職場でもこの点で迷惑をかけているらしいので、

以下の事はきちんと伝えなければいけない。

「あのさ、フィルターを貼るということが共通認識だよね。

こちらは新しいフィルターを貼り終えることがやった、と思っているよ。

もし、前のフィルターが取れないとか、何らかの予定変更があるならば

それはほう、れん、そう、をしなければいけないんじゃない?」

「ああ、そう。言ってほしかった?」

「言う必要があると思う。フィルターは貼ってなかった訳ではないし、

やったと言ってやってなかったんだし。他の人と自分の認識に差異があるよね」

話の途中でいなくなる。

「聞いてる?」

無視。